都市開発に関する欧州と日本の対話 (抜粋)
―「『INTA・新潟』国際都市政策会議(平成16年11月8日−11日開催)」を終えて―

新潟の将来に向けたINTAの視点
新潟が、地域あるいは都市として自らの存在を主張する、すなわち地域の玄関口となる、幅広い機会を有していることは明らかである。市と県の双方は、世界・国・地域というすべてのレベルで主要な役割を果たすために必要な特徴を数多く有している。新潟市は独力で国際都市となるビジョンを明確に定めており、その達成のためには戦略が必要とされる。


■新潟の地域条件
地理的な特徴として、日本海側には国内での競争がほとんどない。
太平洋側へのアクセスがよく、コミュニケーションのインフラも発達している。
県の人口は250万人であり、これは国際レベル・国レベルで重要な役割を果たすために必要となる人口スケールである。
いくつかの市町村を新潟市域へ合併することで、発展計画の作成上発生する境界に関する重要な問題が解決される。


■将来へ向けての戦略
地域が提供すべき都市的な環境を多様にするために(必要な新しい機能を埋め込むような)都市開発の機会を活用する。
経済活動(農産業、バイオ・テクノロジー、農作物の品種や多様性の維持、漁業、精製化学など)のクラスター化を促進し、それらを県全域へと配置することで、経済的な相乗効果(シナジー)を図る。
現在の農業による土地利用を保証するために、都市の成長エリアの境界を定義する。
都市圏の交通システムの結節点としての戦略的な重要性をもつために、新幹線、地域・ローカル鉄道、港、空港をつなぐ地域のハブとして開発する。
低密度(の市街地)や拡散した都市化が交通システムの効率に及ぼす悪影響を克服するために、交通システムを再考する。
地域の文化的な生産品とその品質を見極めるために、文化的な資産とイベントを調査する。
 

■個性の再確認
人間と自然の交流が、新潟の人と場をつくりだしている。
‘水’は繁栄と連続性、そして楽しみをもたらしている。
‘緑のランドスケープ’は、生産と心地よい緑の環境を提供している。
現在、都市部と農村部の間には、緊張関係が存在している。(しかし)将来、人間と自然、人と場は調和し得るかもしれない。これが持続可能性の本質である。新潟の都市部と農村部全域において、‘水’と‘ランドスケープ’、‘青’と‘緑’が個性として共有される。


■発展の目標
持続可能なコミュニティの創造
安全で、緑豊かな、美しい場所の創造
新潟に‘緑と青’のシティ・リージョン(注)というイメージを与える個性の創造
魅力的で、競争力がある活気に満ちた都市の創造
そのような場の創造を可能にするガバナンス(統治方法)の確立
  

■対策案
緑と調和する市街地により‘水と緑’の文化を発展させる。市街地の緑地を更に重要なものとするような、現在と異なる都市部と農村部のバランスが、国際的な新潟の位置づけには必要である。
予定されている計画を中断する。既存のインフラストラクチャー(道路、橋、大規模なアメニティなど)の質を改善し、密度を適正にするような投資に転換するために、公共投資の停止が必要であろう。
可能な場所を高密化し、緑化を促進する方向へ移行する。
農業と余暇活動、緑地の保全と文化的観光を目的とする緑地の生産的利用を保証する。
田圃を1平米つぶす場合は、都心に1平米の緑を増やすなど、緑地の削減を禁止し、バランスをとる。
   

■詳細な目的と方針
<新潟の自然資産の保護、強化>
地域の空間を形作る緑と青のネットワークを設定し、その質を高める。
既存の緑地を保全するために、開発を厳しくコントロールする。
既存の都市エリアに、開発を促進・誘導する。
農村部の作物生産、あるいはそれに替わる余暇活動や緑地の保全、文化観光などのアクティビティを導入するような農村部を再生する組織や仕組みによって、農村部の生産的な利用の存続を保証する。
    
<複数の核を持つシティ・リージョンの確立>
地域開発戦略を通して、それぞれの都市部の役割と関係を定義する。
     
<中心都市の役割の再強化>
産業跡地の開発を促進・誘導し、個性を創出する。
朱鷺メッセ周辺開発のために港湾部の利用可能性を調査し、既存都市との統合を図る。
万代シティ(ショッピングセンター)を主要な小売業の集積地として位置づける。
個性と用途に即した都心地区を確立する。
新潟島地区に歴史地区を定める。
      
<中心都市の特色の強化>
新潟島地区の主要な街路に‘緑豊かな水路がある風景’を創出する。
上古町から萬代橋を通り新潟駅へかかる‘緑の回廊’を創出する。
朱鷺メッセのウォーターフロントから通船川沿いに‘緑の河川軸’を創出する。
統合されたランドスケープ、土地利用・都市デザイン戦略により、信濃川沿いの空間の魅力を高める。
公共領域を設定し、都市デザインガイドラインを導入する。
       
<連続性と移動性の強化>
主要交通ルートの特定と改善を図る。
統合されたネットワークの中で、鍵となる玄関口としての空港、港、駅を整備する。
統合された交通システムを確立する。
徒歩・自転車・ボートの利用を奨励する。
        
<計画実行を保証するガバナンスに関する取り決めの確立>
都市のあり方とランドスケープの構想‘新潟2020’を共有する。
公共・民間・コミュニティセクターのパートナーシップである‘新潟United’の発足を検討する。
資金調達と計画実施に関する責任が明確な優先プロジェクトのプログラム‘Next in 新潟’を準備する。
         

注:シティ・リージョンとは、90年代より欧州で言われ始めた言葉。単なる広域連携ではなく、都市あるいは都市群が農村や自然地を含むエリアで連携することで、都市が地域を牽引していくために、他のリージョンとの関係を視野に入れ、戦略的に政策を打ち出す動きに対して使われている。