連続レクチャー「オルタナティブ・モダン――建築の自由をひらくもの」
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開催主旨





建築は、社会性や都市との関係においての役割を問われるなかで、透明さやフラットネスを求めてその存在感を希薄にする傾向が続いてきた。
しかし、近年、建築のつくられ方に変化がおきているようだ。構造と表面が一体となったデザイン、その複雑さを率直に表現する建築は、新しいかたちに対する驚きだけでなく、知覚を揺さぶるような経験を人々にもたらしている。

これまで、様々な言い方で建築のあり方が語られてきた。「建築はもはや、かたちではない。」「建築はプログラムである。」「建築はプロセス、状況である。」しかし、建築がどうあるべきかという問題と、かたちのあり方とを結びつけることが、なかなかできなかったように思う。建築が「ものをつくること」であり、社会や都市の中に遺っていく存在であるかぎり、このふたつを同じ俎上に載せなければ、現実的な展望がもてないのではないだろうか。

その意味で近年の建築の変化は、かたちの新しさとともに人や都市との関係を取り結ぶような「閉じない」建築の可能性を持ち得るだろうか?
この連続レクチャーでは、変化する建築の切っ先に立っている建築家と討議し、建築のありかたとかたちの問題とをトータルに見据え、建築と社会の可能性やその新しい意味や価値を、建築の現在から問うてみたい。
―――――「オルタナティブ・モダン」は、そのための仮説である。
オルタナティブ・モダンとは?
ここでとりあげようとする建築の中には、一見すると奇妙なかたちのものがある。それらは、配列や新たな幾何学性に着目することによって見出された新しいかたちだと言えるのではないのだろうか。
それは、柱・梁・スラブ・壁というテクトニック(構造学)的な構成要素の起源にさかのぼり、その関係性を問いなおすことによって、近代建築(モダニズム)の概念そのものをリセットし、「ありえたかもしれないモダニズム(オルタナティブ・モダン)」を新しく出現させる試みととらえられる。
かつてポスト・モダニズムの建築は、修辞学的な操作によってモダニズムを相対化し、その差異を唱えることに終始してきた。
しかし、「オルタナティブ・モダン」はモダニズムを否定するのでも、そこから脱却しようとするものでもない。モダニズムが本来もっていながら様々な制約からおとしてしまった他の可能性が、現代の技術や社会の力によって結実されようとしているものではないか、という仮説である。
いかに自由な建築はつくられ、それは社会に何をもたらすのか?
本レクチャーでは、かたちをつくるプロセス(構造学的視点)と、建築と人との関係性(アクティビティの視点)のふたつの視点を軸とする議論を行うため、モデレーターを2名立て、常に両輪のバランスを保つ構成とする。

フォルマリズムに陥るような形態についての概念的な議論、あるいはかたちをシンボリックな建築家個人の表現として社会性への対立項とみる視点は避け、あくまで実際の建築にもとづき、新しいかたちの可能性、それによって誘発されるものや、かたちから生まれる共感のようなもの(公共性)を検証するスタンスで、両者のありかた――いかに自由な建築はつくられ、それは社会に何をもたらすのか――を問い直し、これからの建築と社会のありかたを探っていく。
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