学園祭的なノリで、出展者自身が一番楽しんでいる館といえば、フランス館をおいて他にあるまい。本国からやってきた総勢20人強のスタッフが、ここで寝食を共にし、暮らしぶりを披露することが展示の目的なのだから。
キッチンや仕事場、寝棚は建物の中に足場で組まれ、その足場はさらに屋上にのびて、サウナや露天風呂、展望塔に通じるという充実した住まい。スタッフだけでなく観客もこれらの施設の恩恵にあずかることができたから、フランス館はさながらジャルディーニ会場のオアシスであった。ぼく自身、料理長に夕食を作ってもらったり風呂を浴びたりと、ここには楽しい思い出しかない。しかし、フランス館の都市、建築的意義は何かと問われれば、答えに窮してしまうのである。
風呂や寝棚という発想が、カプセルホテルを超えていない、というのがひとつ。そしてこの共同住宅が、休暇をすごす民宿でしかない、というのがひとつ。仕事と家庭のある、日常の都市生活に対して、フランス館は何もヒントを与えてくれないのである。
ぼくがそう言って不満をぶつけると、スタッフの一人はこう語ってくれた。「設計者、施工者、施主の三者が乖離して久しい。ぼくらは原点に帰って三役を同時にこなすことで、それぞれの距離を縮めるための方法を探りたいのだ」と。二ヶ月の展示期間を終えた日に、何か有意義な答えが得られていることを祈りたい。 |