前注: 執筆者・シゲマツ氏によるレポート、トシ本文を先ずお読みください。
  (用法を正しく守って快適速読・)

編者トシ解説

 この「都市の渚」シリーズもようやく第3回を迎えることができた。毎回常にこのサイトの持つポテンシャルを活かすべく、膨大な構想期間と執筆者との密々なコミュニケーションを経て、あれやこれやと表現手法・手段を模索しつつ、しかし「都市の渚」の根元的なメッセージは一貫させながら、「同じ球は2度投げん!」の掟に基づいてやってきた。この記述・表現という目論みにおいて、とにかくぶっちゃけて言って『都市』は手ごわく、そしていくらでも安易に扱える。この『お化け』に対して今回の筆者であるシゲマツ氏も果敢に挑み、この回を盛り上げてくれたことを深く感謝している。

 彼はO.M.A.(Office for Metropolitan Architecture)に勤務し、レム・コールハース師の下、設計のプロジェクトリーダーとして活躍している。この創造のデパートメントストアと称される超有名設計事務所で、こうしたポジションをキープするには、実は「正直さ」が不可欠と言われている。当然、口も手もすこぶる良く動かなければならないのは言うまでもないが、解釈不能なことやクオリティーの強度にたいして正直に対応しないと、「あっ嘘ついてやんのこいつ!」というジャッジが即座にボス、同僚から下され、たちまち信用を失ってしまうらしい。
 こうした背景を持つシゲマツ氏と、編者である僕とのかなりしつこいやりとりの中から、今回客観から一歩踏み込んだ『バカ正直』という理念を、僕らが共有するに至ったのは喜ばしい限りだ。

 今回の彼のレポートはトシ本文トシ注釈トシ動画という3つのレイヤーで構成されている。それぞれのレイヤーはキャラの異なる「正直さ」によって表現され、それらの文と画を巡りながら『都市(=トシ)』が「見る者の主観のなかに存在するという事実(シゲマツ談)」を感じてもらえるはずだろう。

 これは連載の初回にこの連載の主旨として書いた、
「こうした自分と対象との間でできあがる像を入手もしくは更新するのが旅にほかならず、リアルに知り得た都市の姿なのだ。」という内容を彼が受け入れながらも、彼自身の球で投げ返してきた主観的想像の産物なのである。

 編者が願うはこれを通して、彼のトシ注釈でも触れられているレム・コールハースが行った凍結という手法に例えるならば、いかなる表現ジャンルであろうと読者がそして僕らが、さらに解凍・調理・盛り付けまで到達する腕力とセンスを得る、その一助となれば幸いである。

 バカ正直で自由な表現者の為に。



そして渚のチュー<都市の渚>

 この連載のタイトルである「都市の渚」の『渚』について、少しだけ触れたいと思う。今まで言及することを控えていたのは、この連載という『旅』を通じて、自分ではない自立した主観をもつ第三者(=レポート執筆者)の表現を通して、ここでいう『渚』を様々な形でリアライズしていくことを目指したからだ。先に定義で囲ってから立証するのではなく、執筆者という他者との間で可能性を広げながら、ケーススタディーとして毎回異なる方法で『渚』の具体化を試みてきた。それがこれまでの連載3回の足跡であり、今後の『渚』プロジェクトの指針でもある。



編者のあとがき<近況からのエピソード>

(TNP注:遠藤治郎氏は2001年11月、オランダからスリランカへお引越しをされました。)

 ここスリランカでは、英語は3つの公用語の一つということもありかなり通じるが、現地化(シンハリッシュ)された英語は異様に早い喋り口となっている。スリランカの主言語、シンハラ語が常にハイスピードで用いられることから単純に、そうなったと現地の友人は言う。これは結果的にシンハラ語の生きたダイナニズムが他国語(旧宗主国語)である英語に吹き込まれ、それが如何にナマっていようと早かろうと英語の日常化を作りだしている。
 さらにその使われ方は結構マゼマゼで、例えるならJ-WAVE社内での会話(チョット想像で)、ICU(国際キリスト教大学/東京)での学食での会話のような、訳の分からない2、3カ国語をチャンポンした会話をイメージしてもらえればいいかもしれない。ともあれ、それは"works"、つまりライブに実働している事であり、それは日本中の街中やwebページ、古くは桑田圭介まで、我々が常にチャンポンでやってきたという事実を思い出させる。ヨーロッパではようやくその『チャンポンの快楽と混乱の同時進行』が始まったばかりで、それゆえにチャンポン現象の行方を見極める事を火急の事として感じているらしい。ここで『感じる前に考えようとする者』と『考える前に感じて...、以上!の者』との大きな違いが、世界に転がることとなった。前者は後者を、後者は前者のエクセサイズをすることから未来は創られる、と僕は思う。



参考リンク資料:これまでの足跡。
第1回 編者vs小沢 剛 都市を耕す美術家の日記 (with-編者との・交換日記ダータ)
第2回 編者vs鳴川 肇 建築家である発明家の随筆(with-パワーポイントテッドナビ付設計論文
第3回 編者vs重松象平 勤務建築家によるトシ挿話(with-バカ正直なチュー動画

(読者へのチュー:この3回分の連載を読んで頂いた方からの感想・批評などをココ宛に頂ければ幸いです。)




profile

遠藤治郎(Jiro Endo)
1966年 東京生まれ。建築家。
1991年 武蔵野美術大学造形学部建築学科卒
(株)アールアス設計工房勤務
1995年 (有)インテンショナリーズを大堀伸、鄭秀和と共に共同設立
1998年 同社辞職後、guesthouseを遠藤幹子と共に設立
同年オランダへ移住。事務所名をguesthouse-Amsterdamと改称。
1999年 よりベルラーヘ・インスティテュート在籍。
2001年 引越にともないguesthouse-Rotterdamと改称。 兼業育休主夫。
2002年 1月より国立モラトワ大学建築学部建築学科研究室名誉助手兼Guest Lecturerとしてスリランカへ
1年間単身赴任中。guesthouse-Rotterdamに加えguesthouse-Colomboを設立。

guesthouse渡蘭後の物件としては
コーネリアススタジオベランダ改装〜東京都目黒区、
ラフォーレ原宿ショップカード什器〜東京都渋谷区、
ギャラリーロケット新築工事/大堀伸(general design)と共同〜東京都渋谷区、などがある。
現在オランダでの実施予定の小物件も進行中。
その内の一つとして、教育的インターネット端末機能を含む自動販売機改造設計監理および一部施工の物件がある。Vlaardingen市Holy地区にある図書館兼中高等学校に設置、発注者はオランダ人メディアアーティストのMerel Mirage、近日公開予定。
またアムステルダム市内にある、オランダ型家庭菜園団地(Volkstijn)内の監理施設建物の全面改修の設計を今回の執筆者の鳴川氏と共に手掛け、2002年内に施工が始まる予定。

執筆歴としては、「新建築」2001年2月号、「スタジオボイス」No.299,300、「リラックス」No.45,46(案内猿として)ほか。
また「建築知識」に2000〜2001年にかけては毎奇数月号に「オランダ通信」(DHL/ダッチホットライン)を連載。また2001年1月号より毎月「スリランカ通信」を連載中。



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